作者 | 大塚勇三 再話/赤羽末吉 画 |
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出版 | 福音館書店 |
価格 | 1,365円(税込) |
モンゴルの大草原にかかる大きな二重虹。そこから始まる羊飼いの少年スーホと白馬の物語は1967年に出版されています。この絵本は遠景の描写が多く、登場人物の表情がくわしく描かれていません。また、スーホが兵士に打ちのめされたり、白馬が矢に矢に射られる場面では、そこにいる人々の顔がすべて塗り潰されています。この絵を読みながら子どもたちがつぶやきました。「王さまの命令だけど、この兵隊さんの中には絶対にスーホのことを叩くのがいやだ、と思っている人がいるよ」「白馬に矢が刺さりませんようにと思っている人がいるよ」。この絵本の絵は物語を単に解りやすくするために添えられたものではありませんでした。私たち読者が絵を読み込み、色調や空白の部分からも感情を汲み取り、絵本の中に深く関わってゆけるものでした。綿密な取材を重ねてこそ出来上がった作品。これからも大切に読み継いでいきたいと思います。(いろいろvol.52号に掲載)