作者 | 小檜山賢三 |
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出版 | 出版芸術社 |
価格 | 各2,940円(税込) |
“ えほん展いろいろ ” を開催するようになって、今年で10年。子どもたちと一緒に会場に来てくださるおとなの方にも、もっと絵本を楽しんでほしいと工夫を凝らすのですが、やっぱりおとな達は、絵本の絵を読むのが苦手。絵の中に描かれている小さな物語や登場人物の視線の先などは気にかけず、ぱらぱらとページをめくり、文字だけを読んで「ふーん」という状態。といって、おとな向けの絵本というのは、子どもにとって難解なものが多いし・・・それじゃあ、ことばや文章のない写真集は?と探してみると、これがいい!これらは書店や図書館などでは、ほとんどが子どもたちの手には届かず、目にふれない場所にあるもの。じゃあ、それを!と “ えほん展 ” で並べたら、おとなも子どもも、みんな一緒になって、びっくりぎょうてん。『 象虫 』や『 葉虫 』のとことん拡大した姿を指さして「 ええーっ!この虫、こんな顔してるんや 」「 きれいな色や。ぴかぴかしてる 」ページのすみっこの実物大の表示に「 うわーっ。こんな小さな虫なんや 」。おとなと子どもが混じりあってワイワイガヤガヤ。一冊の本が仲立ちになって、こんな楽しみ方ができる。これこそ私たちが伝えたいこと。えほん展に並べる写真集の割合が年々増えていくのは、こんないきさつがあるのです。
(いろいろvol.49号に掲載)